番外編:ST3s-ABSと一年間
およそ1年間で 5000km強の距離を乗りました.思ったよりオドメーターが延びなかったというのが正直なところです.あまり遠方までツーリングに行っていないのも原因です.4つの季節をST3と過ごして感じた印象をまとめてみたいと思います.
ノーマル外観
乗り味ですが,1000CCのツインらしい鼓動感と高回転までの伸びは素晴らしいものがあります.飛ばさなくても楽しいし,時折スロットルを大きく開けた時の胸のすく加速感は病みつきになります.絶対的なパワーは最近のリッタークラスのマシンはおろか750クラスのマシンや過去に乗っていたSUZUKI TL1000Sには劣りますが,それでも100馬力近くありますので,不足を感じることはありません.V型二気筒のエンジンの宿命である低回転のトルク不足は,並列4気筒エンジンに比べての話で,急坂での発進時以外は慣れれば気になるほどではありません.ST3sは湿式クラッチですので,乾式にくらべ半クラに気を使うことが少ないのも理由です.ただノーマルでは油圧クラッチのレバーは重く感じます.渋滞に巻き込まれると握力が無くなっていくようです.ノーマルで直径26mmのクラッチレリーズをAELLAの直径28mmのものに交換しました.クラッチの切れを気にして28mmにしたのですが,もう一回り大きい直径30mmでも大丈夫なようです.
最近のライドバイワイア車では気になりにくいそうですが,一昔前のインジェクション車ですのでスロットル開けはじめのギクシャク感はあります.渋滞時などにくしゃみをするとちょっと怖い思いをします.そのため私は非線形スロットル開度となるテーマースロットルに交換しています.
パニアケース装備
パニアケース+トップケース装備
フルフェアリング+パニアケース装備の外観から重そうな印象を受けますが,乾燥重量は200kg強ですので,4気筒のリッタークラスに比べると駐車場での取り回し時などで明らかな軽さを感じます.パニアなしですとフロントスクリーンが大柄なので頭でっかちに見えますが,純正パニアケース込でのデザインをされていますので,私としてはパニアケースなしの外観よりパニア装着時の方が好みです.パニアケースで気になるのは横幅の増加ですが,駐車場入口ゲートなどでは若干気を使います.しかし,走っているときは荷物を積載していても走行性能に大きく影響することはないように思えます.トップケースまで装備するとさすがに若干重さと風の影響を感じます.普段はパニアケースのみで走ることが多くなりました.
一言でST3を表すなら,ハイスピードツアラーという言葉になると思います.メガスポーツクラスに比べると最高速は相当劣りますが,高速道路での流れに合わせた巡航速度+αでは余裕があり非常に楽です.ふわわくらいまでならメガスポーツに遅れずについていくことが可能な気がします.そんな気がするだけですが.一方で,非常に曲がりくねった峠道はさすがにきつく,裏ヤビツ峠のような道では疲労困憊で目が回りそうになりました.ライディングポジションはネイキッドに比べると前傾,SSに比べるとアップライトですが,この姿勢は非常によく考えられていて,高速巡行での遠乗り時において最も疲れにくいポジションだと実感しました.
黄昏のST3
ところで,キモオタな話ですが,皆様はご自分のバイクの性別を意識されていますでしょうか?
以前,MAGNA750でユーラシア大陸横断をした方と話していて,その方は自分のバイクは男性であり,頼れる相棒という意識とのことでした.私は昔からバイクは女性だと思い込んでおり,ST3も女性だと感じています.偶然にもバイクのイタリア語” motocicletta”は女性名詞ですね.